マルチタスクとは何か?効率的な仕事術と集中力アップのポイント

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins
2025年7月10日
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マルチタスクの 5 つの神話と、一点集中で生産性を上げる 6 つのヒント
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概要

マルチタスクとは、同時に複数の作業を進める働き方のこと。しかし、実際には脳に過度な負担をかけ、生産性や集中力を下げてしまう可能性もあります。

本記事では、マルチタスクとシングルタスクの違いや、マルチタスクが仕事に与える影響、メリット・デメリット、マルチタスクを避けて効率よく働くための具体的な戦略をわかりやすく解説します。

「ついマルチタスクしてしまう」「集中力が続かない」「仕事効率を上げたい」と感じている方に役立つ実践的ヒントが満載です。

更新: この記事は、マルチタスクのメリット・デメリット、マルチタスクが得意な人と苦手な人に関する記述を含めて 2025年 7月に改訂されました。


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メールを確認しながら会議に参加、電話対応中に資料を作成——。現代の職場では、こうした「マルチタスク」が日常的です。しかし、一見効率的に見えるマルチタスクは、実は脳の負荷を高め、生産性の低下やミスの原因になることも。

働き方改革が進む今、業務効率化やタスクの管理方法があらためて注目されています。この記事でマルチタスクの実態と影響を理解して、仕事の効率を高めるための具体的なヒントをご覧ください。

記事: 分散ワークの世界で燃え尽き症候群を乗り越える方法

マルチタスクとは

マルチタスク (multitasking) とは本来、コンピューターが複数の処理を同時に実行する仕組みを意味する用語です。しかしビジネスシーンでは、複数のタスクを同時進行でこなす働き方として広く使われています。

ところが、人間の脳は本質的に同時並行の処理に向いていません。実際には、複数のタスクをこなしているように見えても、脳が一瞬でタスクを切り替えている (タスクスイッチング) だけなのです。この切り替えのたびに集中力が奪われ、他のタスクにも影響が出る悪循環に陥る可能性があります。


マルチタスクの負担を減らすには、タスクの全体像を整理し、優先順位を可視化するのが効果的です。そうすることで、無理な同時進行を避けられます。

Asana なら、複数のタスクを一元管理し、人間の脳が最も効率的に働ける順序で仕事を進める環境を整えることが可能です。

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マルチタスクとシングルタスクの違い

マルチタスクの対義語として知られるのが、シングルタスク (またはモノタスク) です。シングルタスクとは、一度にひとつの作業に集中するスタイルで、タスクを切り替えることなく、目の前の仕事に没頭する働き方です。

このような一点集中型のアプローチでは、注意力を分散させずに取り組めるため、フロー状態 (深い集中) に入りやすくなると言われています。フローに入ることで作業効率が高まり、結果的に生産性も向上しやすくなります。

一方で、ビジネスシーンでは、予期せぬ業務が発生したり、複数のプロジェクトが同時に動くこともあります。そうした場面では、シングルタスクだけにこだわらず、臨機応変にタスクを切り替える柔軟さも必要です。

つまり、自分の業務スタイルやチームの状況に応じて、マルチタスクとシングルタスクをうまく使い分けることが、仕事の効率を高めるカギになります。

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マルチタスクが得意な人と苦手な人の特徴

マルチタスクに対する適性は人それぞれで、大きく「得意な人」と「苦手な人」に分かれます。自分の特徴を理解することは、業務効率化やストレス軽減につながる重要なポイントです。

マルチタスクが得意な人の特徴

  • 柔軟な思考ができる: 複数の業務内容を臨機応変に切り替えられ、緊急度の高いタスクにも迅速に対応できる人はマルチタスクが得意といえます。

  • 短時間での判断力が高い: 次の作業にスムーズに切り替え、切り替えによるストレスを感じにくいタイプです。

  • ストレス耐性がある: 多少の混乱や情報の増減にも冷静に対処できるため、プレッシャー下でも安定したパフォーマンスを発揮します。

マルチタスクが苦手な人の特徴

  • 完璧主義である: すべての業務を完璧に仕上げたいという強い思いから、途中でタスクを中断されると集中力が途切れてしまい、切り替えが苦手になる傾向があります。

  • 注意散漫になりやすい: 複数の作業を同時に処理しようとすると、どのタスクにも集中できずミスが増えやすいタイプです。

ストレスを感じやすい: 切り替えのたびに脳の負担が大きく、疲労感やイライラを感じやすくなります。

マルチタスクに関する 5 つの “神話”

ビジネスシーンで当たり前のように行われているマルチタスク。しかし、それを無意識のうちに信じていることで、業務効率が落ちている可能性があります。ここでは、マルチタスクにまつわる代表的な “神話” を解きほぐし、科学的な視点からその実態を明らかにします。

神話その 1: 人間にはマルチタスクの能力がある

一見、複数の業務内容を同時に進められる「マルチタスク能力」があるように思えますが、実際はそうではありません。

 人間の脳は本来、一度にひとつの作業にしか十分な注意を向けられない構造になっており、複数の作業を行う際はタスクの切り替えを高速でくり返しているだけなのです。

この切り替えによって「スイッチコスト」と呼ばれる集中力の損失が発生し、ミスや処理時間の増加を招きます。結果的に、2 つのタスクを完了するのにかかる時間は、一つずつ行うよりも長くなる傾向があります。

神話その 2: マルチタスクには効果がある

長年マルチタスクを続けてきた人ほど、「自分はうまくやれている」と感じるかもしれません。しかし、その感覚と実際のパフォーマンスには相関がほとんどないと研究は示しています。

つまり、「自分がうまくやれているという自覚 = マルチタスク能力が高い」とは限らないのです。知らず知らずのうちに、集中力や注意力を削り、次の作業にまで悪影響を及ぼしている可能性があります。

神話その 3: マルチタスクで生産性が上がる

「同時にこなせば、短時間でより多くの成果が出せる」と考えがちですが、実際には逆です。David Meyer 博士の研究によると、タスクの切り替えによって生じるわずかな思考停止が、1 日の生産的な時間の最大 40% を奪っている可能性があるとされています。

マルチタスクは、表面的にはスピード感があるように見えても、業務効率や成果の質を下げてしまうリスクが高いのです。

記事: ビジネスにおける効率と効果の違い: チームに両方が必要な理由

神話その 4: マルチタスクには種類がある

「タスクの切り替え」や「注意残余」といった用語を耳にし、「マルチタスクには種類がある」と誤解されることがあります。しかし、これらは種類の違いではなく、マルチタスクが非効率になる要因の分類にすぎません。

  • タスクの切り替え: 異なる作業に次々と移ること

  • 注意残余: 次の作業に移っても前の業務内容が頭から離れない状態

  • コンテキストの切り替え: 作業や思考の枠組みを変える必要がある状態

これらはすべて、マルチタスクによって生じる負担であり、集中力や記憶力への影響が避けられない要素です。

神話その 5: 職場ではマルチタスクは必要不可欠

マルチタスクは、「現場では仕方がない」「職場では当たり前」といった声もあります。実際、Asana の調査では、平均的なナレッジワーカーが 1 日 10 種類以上のアプリを最大 25 回も切り替えていることが判明しました。

こうした「メディア・マルチタスキング」は、ただの効率低下にとどまらず、作業ミスや情報の見落とし、さらには記憶力の低下にもつながります。つまり、職場だからこそ、意識的にマルチタスクを避ける環境づくりが求められているのです。


マルチタスクには「できているつもり」の落とし穴があり、結果として業務効率を下げてしまうリスクが高まります。すべての作業を同時進行するのではなく、タスクの見える化と一元管理によって「切り替えの負荷」を減らすことが、現代の働き方には欠かせません。

すべての情報をひとつのツールに集約できれば、アプリをいちいち切り替えて集中力を途切れさせる必要はありません。Asana は Slack や Google Workspace、Teams など、さまざまな業務ツールとシームレスに連携できるため、タスクの全体像を一元管理しながら、仕事に集中できる環境を整えることが可能です。

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マルチタスクのメリット

ここまで、マルチタスクのリスク、誤解について見てきましたが、すべてのマルチタスクが悪というわけではありません。状況や業務内容によっては、適切に取り入れることで効率や柔軟性を高める効果もあります。

以下に、マルチタスクの代表的なメリットをご紹介します。

1. 時間の有効活用につながる場合がある

たとえば、ファイルのダウンロード待ちや会議の開始前など、作業の「隙間時間」を使って簡単なタスクを並行処理することで、時間の無駄を減らすことができます。

ただし、これは片方の作業が低負荷または自動的に進行する場合に限られます。

2. 軽微な業務の処理スピードを上げられる

ルーティン業務や、思考をあまり必要としない作業であれば、複数のタスクを同時進行しても負荷は小さく、効率が上がることもあります。

たとえば、音声会議を聞きながらメールの整理をするといったような組み合わせです。

3. 臨機応変な対応力が身につく

ビジネスの現場では、予定外のタスクや問い合わせが突然発生することも多いものです。そうした場面で、柔軟にタスクを切り替えて対応する力、つまり臨機応変さは、重要なビジネススキルのひとつです。

マルチタスク的な動きが求められる場面を適切に見極めて対処する力は、チーム全体の生産性にもつながります。


マルチタスクにはメリットもありますが、それはあくまで限定的または戦略的に活用した場合に限ります。次のセクションでは、マルチタスクによって生じやすいデメリットや落とし穴について詳しく解説します。

マルチタスクのデメリット

マルチタスクには状況によってメリットがある一方で、日常的にくり返すことで大きなデメリットをもたらすことがわかっています。特に、業務内容が複雑化および多様化している現代のビジネス環境では、以下のような影響が見られます。

1. 業務効率の低下とキャパオーバーの誘発

複数のタスクを同時にこなそうとすると、脳はタスクの切り替えを繰り返すことになり、そのたびに集中力が途切れ、思考の流れも中断されます。その結果、ひとつの作業にかかる時間がかえって増え、ミスも発生しやすくなるため、業務効率は低下します。

この状態が続くと、「もう無理」と感じるキャパオーバーにもつながりかねません。

2. 緊急度の判断があいまいになる

マルチタスクを常態化すると、どの業務内容を優先すべきかの判断がブレやすくなります。本来、タスクをこなすには重要度と緊急度を見極める力が必要ですが、それが曖昧になると、優先順位を間違え、仕事も非効率になりがちです。

3. 次の作業への影響と「注意残余」

別のタスクに取りかかった後も、前の作業が頭から離れない状態、いわゆる「注意残余」が発生します。この状態では、次の作業への集中力が低下し、思考の切り替えにも時間がかかるため、仕事の質にも影響が出やすくなります。

4. 情報共有の分断とコミュニケーションロス

複数の業務を並行処理する中で、チーム内の情報共有がおろそかになることも少なくありません。「誰が何をどこまでやっているか」が不透明になると、二重作業や抜け漏れが発生し、結果的にプロジェクト全体の足を引っ張ってしまいます。

5. 精神的疲労と燃え尽き症候群のリスク

マルチタスクは、ただ生産性を下げるだけでなく、心の健康にも深刻な影響を及ぼします。特に、「常にスマートフォンを手元に置いている人」や「通知に即反応し続けている人」は、常時マルチタスク状態にあると言えます。

こうした習慣は、慢性的なストレスや注意の分断を引き起こし、燃え尽きやすい働き方を助長してしまうのです。


マルチタスクによる負荷を減らし、心身ともに持続可能な働き方を実現するには、タスクの優先順位を明確にし、情報と進捗状況をチームで共有できる仕組みが不可欠です。

Asana を活用すれば、業務内容を視覚的に整理し、スケジュール管理や情報共有を効率化。アプリの切り替えによる集中力の分断も減らせるため、タスクにしっかり向き合える環境を整えることができます。

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一点集中で生産性を高める 6 つのヒント

マルチタスクの “幻想” に惑わされると、バーンアウトやキャパオーバーを招く恐れがあります。そこで、マルチタスクに頼らず生産性と効率を上げるための時間管理のコツを 6 つご紹介します。ぜひマネジメントや自身の働き方に役立ててください。

1. 時間を区切る (タイムボクシングを試す)

タイムボクシングは、作業時間をあらかじめ区切り、その時間内は一つの作業に集中する方法です。作業開始から終了まで集中し、切り替え時には必ず作業を完了させます。カリフォルニア大学バークレー校の研究では、こうした「フォーカス・スプリント」の導入で生産性が 43% も向上したと報告されています。

記事: 時間区切りのテクニック: 目標指向型の時間管理戦略

2. タイムブロックをスケジュールに組み込む

タイムブロックは、似た作業をまとめて集中して処理する時間帯の設定です。例えば、午前中はメールチェックに集中し、その他の時間は通知をオフにして仕事に没頭します。

Asana のリサーチでは、80% の人が常にコミュニケーションアプリを開いたまま作業していることがわかっており、通知による集中力の乱れを防ぐために効果的です。

記事: Asana を使ってマーケティングチームとセールスチームの照準を揃える Guru

3. サイレント機能を使う

通知が途切れないと集中力は続きません。PCやスマホのサイレント機能を使い、意図的に通知をオフにすることで、フロー状態を維持しましょう。

記事: Asana を使用してクライアント維持率を向上させている Stride

4. ポモドーロテクニックを試す

25 分の作業 + 5 分の休憩を 1 セットにしたポモドーロテクニックは、集中力とモチベーションを高める有効な時間管理術です。4 セット繰り返した後は、20〜30 分の長い休憩を取りましょう。休憩中に SNS をチェックするなど、適度な気分転換も大切です。

記事: 生産性向上のためにできること: 職場で実施できる取り組みとヒントを紹介

5. MIT (最重要タスク) を設定する

MIT とは「Most Important Task」の略で、その日に絶対に終わらせるべき最重要タスクを 1 つ決める方法です。MIT をクリアすれば達成感が生まれ、ストレスや先延ばしを減らせます。カリフォルニア大学バークレー校の研究によると、MIT を導入した組織では生産性が 28% 向上し、燃え尽き症候群は 42% 減少しました。

6. 優先順位を明確にする

すべてのタスクが同じ重要度に見えるとマルチタスクに陥りやすくなります。業務内容の緊急度や重要度に基づいて優先順位をつけ、低いものは後回しにすることで、集中力を保てます。

記事: タスクに優先順位を付けて、仕事時間を管理する方法

以上のような時間管理テクニックを使って、マルチタスクに頼らず効率的に仕事を進めましょう。Asana なら、スケジュール管理やタスクの優先順位付けを簡単に行え、生産性アップを強力にサポートします。

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まとめ: マルチタスクから一点集中へ

マルチタスクの意味とその “神話” の真実、メリットとデメリット、シングルタスクとの違いなどを解説し、マルチタスクのリスクを考慮に入れながら生産性を向上するヒントをご紹介しました。実際のところ、マルチタスクにはデメリットが多く伴います。タスク切り替えのために脳のエネルギーを費やすのではなく、一点集中型スタイルで仕事に臨み、成果を上げましょう。

また、さらに効率的に業務を実行するためには、タスク管理ツールの導入も検討してみましょう。適切なツールを使えば、To-do リストの作成やタスクに優先度を付ける作業などがスムーズに行えます。Asana なら、タスクやプロジェクトの見える化やチーム内コミュニケーションをサポートするためにも最適です。チーム別、用途別で使えるテンプレートも揃っているので、利用しましょう。

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マルチタスクに関するよくある質問

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